教育・学習支援Y・Mさん

私は大町市から車で30分ほどのまちに住んでおり、大町山岳博物館にはこれまでにも何度か伺ったことがありました。ある時は、お客様を連れて山岳眺望を楽しんだり、またある時は家族でライチョウを見に訪れたりと、どちらかと言うと軽い感じで利用をさせていただいていましたが、今回博物館実習の選定先を選ぶにあたり、なぜか真っ先に候補に浮かんだのが、大町山岳博物館でした。歴史民俗から生物や地質、さらには動植物園までが網羅されていて、それらがコンパクトにまとまっている博物館なので、と言うのは表向きの理由で、実際には、これまでの大町市と大町山岳博物館にまつわる個人的な思い出から想起される、日常と隣り合わせの絶妙な非日常感に惹かれたのだと思います。
 いささか不真面目な理由から実習先を選んだ訳ですが、博物館の日常に入り込んで、それこそ20年近くぶりに一生徒として過ごした6日間は、大変充実した日々でした。実習では、博物館の歴史や実際の活動内容、博物館資料の収集や取扱、調査研究、教育活動、施設管理等、実習を交えつつ教えていただきました。特に子ども達を対象にしたセミの抜け殻観察会については、講座の記録自体が貴重なデータとなって蓄積されていることが印象的で、博物館として講座を企画するとはどういうことなのかを学ぶことができました。また、地質に関する調査の演習や昆虫調査への同行では、身近な場所にも奥深い世界が広がっていること、また、それらを地道に調査し記録して、広く伝えていくことの大切さを学びました。常設展示の設計にまつわる、生々しくも熱いお話を聞けたのも、現場での実習ならではかと思います。博物館の歴史や資料整理のボランティアの話からは、大町山岳博物館が市民から愛されているだけでなく、博物館の存在が市民としてのアイデンティティの一部になっていると言う印象を受けました。スポットガイドの実習では、出来は散々でしたが、限られた時間の中で的確に伝えるテクニックも学芸員には必要なスキルなのだと改めて感じました。
 普段とは違う現場に身を置いて学ぶという機会は、得るもの、感じるものも多く、本当に充実した6日間でした。博物館の皆様には、多忙な中、この様な機会をいただきましたことに、改めましてお礼を申し上げます。また、今回、社会人の実習生は私1人でしたが、他の実習生の皆様は、感じが良く真面目で優秀な学生の方々で、久しぶりに良い刺激を頂きました。職員の皆様と他の実習生の皆様のおかげで本当に楽しい日々を過ごすことができました。ありがとうございました。

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