過去の研究 自然科学サワギキョウの生活史

  • サワギキョウの生活史
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サワギキョウの発芽した実生は成長に伴い直立根茎を発達させるとともに秋に短い匍匐根茎を形成しました。このことから、サワギキョウの根茎は直立根茎と匍匐根茎からなる複合根茎であることが明らかになりました。開花は発芽した当年に認められず、匍匐根茎から生じた娘ラメットが翌年に開花に至りました。
花序あたりの開花数は 1 日あたり 1 ~ 2 個で,おおよそ午前3 ~ 6 時の間にはじまりました。花は雄期から雌期へ移行する雌雄異熟であることは先行の研究で明らかにされていますが、花の形態の観察から花粉が噴出する仕組みは、訪花動物が癒合して筒状になった雄しべを持ち上げることで空間に充填された花粉を円柱状に癒合した雌しべの先端により押し出される仕組みであることをわかりました。
果実は蒴果で、他家受粉により結実に至り、種子散布は蒴果の一部が破れた場所より、種子が落下するものと推測されました。種子散布は 9 月以降ですが、冬期にいたっても茎に種子を内包した蒴果が意外に多く残存していて、発芽実験から春期の散布であってもある程度の発芽が可能である一方、低温により休眠打破が促進されるものと考えられました。

【成果発表】
千葉悟志(2020)サワギキョウの生活史 −日本産草本植物の生活史研究プロジェクト報告第11報−.市立大町山岳博物館研究紀要4:115-119.市立大町山岳博物館.

千葉悟志

担当研究者千葉悟志

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