スタッフブログふぞくえんまつり

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毎年恒例の「ふぞくえんまつり」。今年もGWに開催しました。この「ふぞくえんまつり」では、動物観察ツアー・スタンプラリーなどのイベントが行われます。大町市のキャラクター「おおまぴょん」も遊びに来てくれましたよー。
動物観察ツアーでは、昨年度から新しく仲間入りをしたスバールバルライチョウをはじめ、現在付属園で飼育されている動物の生態や性格、ここへ来た由来などをご紹介しました。ライチョウ以外ではほとんどが保護されてやってきて、野生復帰ができなかった個体なので、動物の“種”としては身近な存在です。しかし野生下では、身近と思っていてもまじまじと観察するのはなかなかに難しいもの。キツネやタヌキやトビやフクロウだって、意外にも、「ふぅ~ん…。」と思えるようなことがある。それがこのツアーの小さな魅力だと思います。みなさん、カモシカは「シカ」ではなく、「ウシ」の仲間なんですよ。だとか。私も楽しみながら、ツアーのご案内をさせていただきました。
スタンプラリーはどんなものかというと、付属園にいる動物の絵柄のスタンプを押しながら園内をまわってもらうというものです。スタンプは飼育員がハンコ用の消しゴムを彫って作る、オリジナルスタンプです。性格や顔つきを考えて“個”を出すか、柄の映える“種”を出すか、時に悩みます。個体をモデルにした時に、似てるー!と言って、飼育員同士で盛り上がるのです。今回、初ハンコ作りだった新人飼育員の力作は、顔が個体に似ている。そしてもう一つはまるでハンコから出てくるようではないか。3Dか?天才が現れた、と思いました。さてどの絵柄でしょう?絵柄を見て、どんな動物だったかな、と思い出し、また、興味を持っていただけたら幸いです。
ふぞくえんまつり、沢山の方にご参加いただき、ありがとうございました!

さて、私はこれまでに、多くの保護動物個体と接することがありました。成獣、成鳥であれば多くの場合がケガや老衰等で、助からないことも多く、回復してもケガの完治ができなかったり、飼育環境に慣れてしまうことがありました。幼獣、雛であれば人に馴れてしまう。馴れた個体をどうやって外へ出せば良いか、いろんな矛盾や葛藤がある中で、なるべくここに残さないようにと思い、やってきました。
野生動物は弱みを見せない。見るからに、もう弱っている姿であれば、それは手遅れである場合がほとんどでした。しかしそれも、一概に「こうだ」と言い切れないのが難しいところです。
前回のスタッフブログで佐藤学芸員も言っていたように、もしも野生動物を見て、保護が必要かな、と思った場合は手を加える前にまず、様子をじっくり見てください。わからない場合はその場で動かしてなんとかするのではなく、林務課への相談をお願いいたします。特に幼獣、幼鳥である場合は親がそばに居る、または飛ぶための練習中だったなどの誤認保護が多く、再び外に出る時は同じ“種”の親が育てたのではない(生きていく術を充分に学べない)ことのリスクを背負っての旅立ちとなります。そういったことを未然に防ぐためにも、どうかよろしくお願いいたします。
今、付属園に居る動物の多くは、先輩方が育て、世話をした個体です。後から飼育員として入ってきた私は、彼らからすれば“よそ者”だったので、距離が縮まるまでに随分と時間がかかりました。中には新人だった頃と変わらない態度の個体もいますが。
 “種”で見ることしかできなかった私が“個”で見るようになり、自分が育て、野生復帰を願って外へ出してきた個体にも、自分よりも前からここに居た個体にも、確かに愛情があります。
今、付属園に居る動物たちと築いた関係を大切に、これからも接していこうと思います。

戸谷諭美

投稿者戸谷諭美

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