スタッフブログカモシカの個性

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 大町はすっかり冬本番を迎え、雪がしんしんと舞い降り、真っ白な銀世界が広がります。ここ最近では、雪や曇りが多く、北アルプスの山々はあまり顔を見せてくれませんが、晴天の日には、純白で猛々しい山々に冬の自然の力強さを感じます。
 大町周辺の山には様々な生物が生きています。ニホンライチョウ、ニホンカモシカ、ホンドタヌキ、ホンドギツネなど多くの鳥類・哺乳類が生息しており、ミズバショウやザゼンソウといった冬を乗り越え、春先には雪の下からひょっこり顔をのぞかせる植物もいます。この厳しい冬に命をかけて乗り越えようとする野生生物を私は尊敬します。雪の中にたたずむ姿は凛々しく、たくましく、神々しささえ感じます。
 今回は雪景色とよく似合う「ニホンカモシカ」についてご紹介させて頂きます。付属園ではニホンカモシカを飼育しており、オタリ(♀)、れんげ(♀)、さつき(♀)、ハクバ(♂)の4頭です。初めて4頭にあった去年の4月頃は、みんな同じように見えました。お世話するうちに、体格・角の長さ・体毛の色など外見の違いや、性格の違いなどが分かってくると、4頭を次第に判別できるようになり、今では顔の違いも分かるようになりました。カモシカの外見で個体識別し、生態調査を行う研究もあり、それほどにも、カモシカの外見は1頭1頭個性があり、角の先から足先まで個体によって異なります。
 ここで付属園で飼育されている、それぞれのカモシカのご紹介をさせて頂きます。想像しながらお読みください。
 まず初めにオタリ。オタリは首の位置が低く、人間でいうと猫背のような歩き方をしているように見えます。角が極端に太く短く丸みを帯びている、体毛は全体的に白色が多い、性格は厳しい一面もありますが、面倒見の良いお母さんのように思えます。オタリは出産経験もあることから、どこか寛大さを感じます。
 れんげは顔立ちが凛々しく、体格も大きく、体毛は全体的に濃い灰色がかっている、角は左が右に比べて短くアンバランスなのが特徴的です。れんげはオタリの子どもでオタリに育てられました。そのため、人に育てられた(人工哺育)カモシカに比べると、人に対して慣れておらず、常に一定の距離を保ち、人間を恐れることなく、近づいてくることはほとんどありません。4頭の中では一番、野性味が溢れるカモシカです。
 さつきは可愛らしい顔立ちで、目が丸く、飼育員の中ではアイドル的存在です。さつきはれんげとは真逆に人工哺育で育った個体のため、人を恐れることはありません。人見知りの性格のため、慣れるまでに時間がかかりますが、慣れると体を触らせてくれたり、呼ぶと近寄ってきます。最近、さつきは私に慣れてきたようで、呼ぶと近寄るようになり、撫でさせてくれるのですが、私を的に突進してくることも増えました。他の飼育員に攻撃性はほとんどないので、さつきなりの試練を私に与えてくれているのでしょうか。。。
 ハクバはれんげの父親で、体毛の色は濃い灰色がかっているところはれんげとよく似ています。れんげの顔立ちや体格は母親のオタリより父親のハクバ譲りのように私は感じます。ハクバは飼育員を見ると走り寄り、柵越しに突進して、高齢とは思えないほどによく走り回り元気がいっぱいです。角はマーキング(なわばりを主張するための行動)のために柵の支柱や木に頻繁に擦りつけているのですが、擦りすぎて角に光沢が出るほどツルツルになっているのが特徴的です。
 ニホンカモシカという動物種は同じですが、外見や性格を区別して観察すると、カモシカにも人間と同じように個性があることがお分かり頂けたでしょうか?
 現在、付属園は休園中となっておりますが、春ごろから開園予定です。オタリはお客様からご覧頂きにくい場所にいますが、オタリのご機嫌によって姿を見せてくれるかもしれません。ぜひ、4頭の個性あふれるカモシカたちに会いにきて来てあげて下さいね。

写真は後ろ足で鼻をやさしく掻くれんげ。控えめな仕草がれんげらしいです。

富所由希

投稿者富所由希

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