スタッフブログライチョウがやってきました!

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 山岳博物館が12年ぶりに日本のライチョウの飼育を再開してから3ヵ月が経ちました。国の特別天然記念物であるライチョウは、現在の推定個体数が約1700羽と減少が進んでおり、絶滅の恐れがある絶滅危惧種にも指定されています。
 そこで環境省は、ライチョウの保護増殖事業の一環として、日本動物園水族館協会と連携して生息域外保全に取り組んでおり、昨年度から、ライチョウの個体数が比較的安定している乗鞍岳から採取した卵の、動物園での人工ふ化・飼育を開始しました。将来的には、飼育下で育ったライチョウまたは卵を野生に戻すことも考えられていますが、その第一歩として、まずは飼育や繁殖を経験してその技術を確立させることが目的となります。昨年度は東京都恩賜上野動物園と富山市ファミリーパークの2ヶ所で取り組まれましたが、今年度から市立大町山岳博物館が加わり、3園館でライチョウの飼育を行っています。
 山博では、6月21日に採卵した4卵が6月30日から7月1日にかけてふ化し、現在(9月23日時点)、オス2羽、メス2羽が元気に成育しています。ふ化したばかりの体重は17.2~19.0gと、片手の手のひらにすっぽりとおさまるほど小さかったヒナたちは、今では400gを越え、両手で包むように持ってもおさまりきれないほど成長して元気よく過ごしています。産まれたばかりのピヨピヨとかわいらしかった鳴き声も、最近では、特にオスの声が低い成鳥の声に変わってきて、ヒナの頃の面影はほとんどなくなり、大人のライチョウに近づいてきています。

 ふ化してから1ヵ月ほどは成長の速度が本当にはやく、2日間ライチョウを見ない日が続くと、体が大きくなっていたり羽がはえかわっていたり、驚くほどかわった姿を見せてくれていました。その頃は、「育すう器」という大きな箱のなかで飼育しており、ヒナたちは、遊んで食べて、寝て、また食べて、を繰り返して1日をすごしていました。活動するときは、餌を食べたり遊んだり、4羽がそれぞれ自由に動いているのですが、誰かが眠そうな鳴き声をあげながら休眠場所に入っていくと、それまで元気よく遊んでいた個体も慌てたように休眠場所まで走っていき、4羽一斉に眠りにつく様子はとてもほほえましい光景でした。
 そんな4羽の成長にはかかせないものがたくさんありますが、≪安心して休める場所≫というのも、とても大切なものです。そのために山博では、普段ヒナたちが休んでいるところにライチョウのぬいぐるみを設置していました。この頃のヒナにとって、一番安心していられるのはやはり母親のおなかの下。ぬいぐるみにヒナたちの「お母さん」となってもらい、その下で休んだり、温まったりしてもらえたら、と考えたのです。このぬいぐるみは約1ヵ月間設置していたのですが、そのあいだ、眠るときには毎回ぬいぐるみの下の一番良い場所をめぐっておしくらまんじゅうが繰り広げられるほど、気に入ってくれたようです。成長にあわせてだんだんとぬいぐるみから離れた場所でも眠るようになったところでぬいぐるみお母さんは引退となったのですが、このぬいぐるみが、ヒナにとって安心できる場所になっていたら良いな、と思います。

 上野動物園と富山市ファミリーパークでふ化したそれぞれ4羽も現段階では順調に成長しているようで、昨年富山市ファミリーパークで成育した3羽と合わせて、3園館で計15羽が飼育されています。今年産まれたライチョウもずいぶんと成長しましたが、まだまだ気をぬけない日々が続きます。無事に成長し、繁殖につなげられるよう、今後も注意して飼育管理にあたりたいと思います。

 なお、飼育管理に万全を期すため、日本のライチョウの展示公開は行っておりませんので、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
また、7月から展示を中止していたスバールバルライチョウについては、明日、9月24日より展示を再開いたします。すっかり冬の装いにかわった姿をご覧いただけますので、ぜひお立ち寄りください。長期にわたり、ご迷惑とご心配をおかけいたしました。

内田木野実

投稿者内田木野実

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