スタッフブログ二頭のカモシカ

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 10月8日、ニホンカモシカの「クロ」が亡くなりました。
 クロが付属園にやってきたのは1991年2月27日。生体展示として野外から導入された個体です。捕獲当時の推定年齢が10~12歳なので、推定34~36歳で亡くなったことになります。
 付属園一の高齢個体だったクロ。ここ数年で徐々に耳が遠くなり、白内障が出ると一気に目が見えなくなりました。去年の秋頃に体調を崩し、一度はもうダメか、と思いきや完全復活。場所が変わって、娘である「さつき」の獣舎の裏へ移動してからは、毎日さつきとの間の扉に自分の匂いをつけることが彼の日課でした。食欲はあったものの、足腰が弱くなり、寒くなりだしてからはついに立つことができなくなりました。寝たきりの状態になるまで、生命力あふれるカモシカでした。
 彼のパートナーであり、今年の6月26日に亡くなった「峯子」もまた、クロと同じく野外から導入された個体でした。クロ、峯子に出会った頃に感じたことは、「野生そのもの」であるということ。フェンスの内側に居て、人工の餌を食べていても、いつも同じ表情、同じ姿勢、めったに他の動作を見せてはくれませんでした。峯子は美人でキリっとした印象。最期のぐったりとしていた時でさえ、なぜだか綺麗で強いと思いました。
 ペットでも家畜でもなく、野生動物であるということが、飼育されているのに?と疑問に思ったこともあります。しかし彼らの態度や、最期の姿を見ると、確かに野生動物なのだなと感じました。
 決して近い距離ではなかっただろうと思いますが、時折垣間見えた普段の警戒とは違う仕草や、お互いに距離をとりつつも相手を認知していること、ただ立って同じ地面を見たこと、そんな時間を過ごせたことが、なんだか嬉しく思えたのです。数の減った餌箱を見ると寂しいです。
 2頭のご冥福を祈ります。

戸谷諭美

投稿者戸谷諭美

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