スタッフブログ寒さとの戦い

  • maya.JPG
  • maya2.JPG

ニホンカモシカの『マヤ』は、付属園の7頭の中でも、とてもおっとりした性格で、白毛が目立つおばあちゃんカモシカです。年齢は推定25歳程で、カモシカとしては高齢な個体です。
『マヤ』は前足が少し曲がっているため、足の付け根が開いた立ち方が特徴的です。他のカモシカのように、鼻を鳴らして警戒音を出してくることはほとんどありません。じっと飼育員の姿を凝視している時の『マヤ』は、顔の作りのせいか、ぼーっとしているように見えます。顔の様子をよく見ようとしてじりじりと距離を詰めると、ハッとしたようにいそいそと距離を取り、落ち着いてからくるりと顔を向け、再び静かに見つめてきます。

そんな『マヤ』ですが、今年の冬の寒さが身にしみるようで、ある日震えている姿が確認されたため、チモシーという牧草を小屋に敷き詰めました。反芻動物であるカモシカは、食べた食物を胃の中で発酵させることが出来ます。発酵の際には熱が発生し、それによって体温が上昇します。食べて良し、暖にして良しと、2つの方法で体を温めることが出来るため、とてもお得です。ある朝展示場に入ると、敷いたチモシーの上で座り込んで、のんびりとくつろいでいる『マヤ』を確認しました。彼女は敷物としてチモシーがお気に召したようです。私は何度か声を掛け、展示場に入ったことを知らせるとようやくこちらに気付き、ゆっくりと体を起こし始めました。思わず「そのままでいいよ、座っててよ!」と、声を掛けてしまいました。足が悪いのに加えて年も取っているため、すっと立ち上がることが出来ずに一度肘を付き、力を入れ直し億劫そうにして立ち上がる姿を見ると、わざわざ立ち上がらせてしまって申し訳ないという気持ちになってしまいます。

それでも、雪道を慣れた様子で歩く姿を見ると、やっぱりたくましいなと感心します。付属園には3頭の高齢個体のカモシカがいますが、どの個体も自分の足でしっかりと斜面を歩いています。年を取っているからと侮ると、時折垣間見えるたくましさに驚かされ、負けてられない!という気持ちが湧いてきます。
問題は寒さだけではありません、いつ体調を崩してもおかしくはない年齢です。老体としていたわりつつも、過保護になりすぎないよう、程よい距離で付き合っていきたいと思います。

遠藤モナミ

投稿者遠藤モナミ

ページ先頭へ