スタッフブログ高山植物の生活史研究 報告2

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山岳博物館では、今年から高山植物の生活史研究をすすめています。種子が芽生えて開花に至るまでにどのように成長していくのかを育てながら、スケッチをしたり写真を撮ったりしながら明らかにするものです。また、花の構造や開花特性、花に訪れる昆虫との関係についても明らかにします。
ここでは、シナノナデシコの花の特性の観察結果についてご紹介いたします。
花はナデシコ属特有の花冠(ナデシコ型花冠)で、午前9時ごろから咲き始めました。夕方になると閉花し、翌朝7時ころから再度開らきはじめました。このことから開閉花であることが考えられます。
開花すると雄しべが花冠以高に伸びて現れるのですが、10本すべてが現れるのに数日かかりました。雌しべは雄しべが外側に倒伏したころに現れ、これらのことから雌雄異熟で、自家受粉を避けていることが考えられます。
また、雌しべが機能を失っても花が維持されたままで、かつ花色が濃く変化していく様は興味深く、スイカズラなどの花と同じ現象(効果)が生じていることが推測されます。
来年再度、観察をして、これらの推測が正しいかどうかを明らかにしたいと思います。
なお、本研究は、「NPO法人 白山高山植物研究会(石川県)」より種子並びに実生の提供を受けて実施するものです。

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