スタッフブログ注意!動物のSOS

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 皆さまご無沙汰しております。飼育員によるブログは4人が毎月交代で書いているのですが、私の順番で止めてしまったため約4か月ぶりの更新となります。楽しみにしてくださっていた方がいたらすみません…。久しぶりのブログで何を書こうかなと考えていましたが、今回は飼育員の仕事である動物の怪我等の処置(獣医さんの行う医療行為以外のもの)についてお伝えできればと思います。

 はじめに、付属園には獣医さんが常在していません。どのようにしているかと言うと、月に1回市内の獣医さんに動物の様子を診に来ていただく他、緊急時にはその都度連絡を取って相談し、投薬や処置の方法について指示を仰いでいます。
 付属園の動物たちは、ほとんどの子が怪我や親とはぐれていたところを保護・救護されてきました。野生に帰すことを目標に一時的に飼育し、元気になった子たちは今までにもたくさん野生へと帰っていきました。その反面、怪我が治らなかったり飼育環境に慣れてしまったりと、野生では生活ができないと判断した動物たちは永年飼育という形で飼育を続けています。
 その中にトビファミリーと総称して呼ばれる6羽のトビたちがいます。中には20年以上飼育している子もいますが、どの子も衰えすら感じさせない元気な6羽です。
 しかし、今年の5月中旬、その内の1羽(以下ツバサくん)が地面近くの枝にとまったまま高く飛び上がることもできず、地面を歩くときもヨッタヨッタと普段と違う動きをしていました。趾瘤症(しりゅうしょう)(※1)を疑い足裏を確認したところ、2本の指から出血がみられました。すぐさまイソジンで消毒し、皮膚の潰瘍(かいよう)治療剤であるイサロパンを塗りました。翌日には出血が止まったので消毒のみ続けて数日間様子を見ていましたが、歩き方が改善されないことから、足への負担が少ない部屋で集中的な治療を行うため、ツバサくんを他の部屋に移動して単独飼育に切り替えることにしました。
 4か月が経ち、最初の頃より止まり木をつかむ力が出てきて地面にいることがなくなったので足裏の傷は治りました。ですが、まだ歩き方はヨタヨタしています。その原因が趾瘤症ではないとなると何なのか…、次に行う治療はビタミンBの投与です。
 ビタミンB群が不足していると、たんぱく質が分解されるときに有害物質がたまって骨を痛めることがあるそうです(トビは肉食なのでたんぱく質を多く摂っています)。骨が弱くなってしまい今回のようなことが起こったのではと考え、獣医さんの指示のもとビタミンBの錠剤や、ビタミンBが多く含まれているふすま(※2)を餌につけて与えています。まだ与え始めたばかりなので効果はみられていませんが、今後状態が良くなることを願い治療を続けていきます。

※1 趾瘤症…足の裏に起こった皮膚および皮下の組織の異常(炎症)のこと。悪化すると傷口から細菌が侵入して感染を引き起こし、最終的には骨や腱等に広がり、骨髄炎、敗血症、関節炎等の病気につながる。
※2 ふすま…小麦粒の表皮部分。

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