スタッフブログ威嚇の理由

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大町の桜も満開になり、日中の暖かさが心地よい季節となりました。これから山などでも食べ物が豊富になるので、暖かくなり始めの今の季節は様々な動物たちの繁殖の季節でもあります。
付属園には8羽のトビが傷病鳥獣として保護され、野生に帰すことができる状態でないため現在も飼育をしています。そのうち6羽は集団で飼育をしており、この6羽を総称して"ファミリー"と呼んでいます。
ある日、高台の上でうずくまっている1羽がいたのでじっと見ていると、こちらに気付いたとたん「ピャ~ヒャヒャヒャ!」と甲高い鳴き声でしきりに威嚇してきました。トビの繁殖期はちょうど今の時期の3月~5月頃なので卵を産んだかな?と思い確認。すると台の上にはコロンと卵が2つ転がっていました。トビは見た目での雌雄判別が難しい鳥です。この6羽も判別ができないまま一緒に飼育しているので産まれた卵が無精卵か有精卵かわかりません。もしも有精卵だった場合、そのままトビに抱かせていればヒナが生まれる可能性もありますが、現在付属園ではトビを増やすことはできないので卵を取り上げなければなりません。無精卵の場合もそのままにしておけば卵が悪くなってしまいます。
そこで使うのが卵そっくりに作った“擬卵”です。擬卵はシリコンや粘土などで作ったりもしますが、今回は本物の卵に穴をあけて中身を出し、空の卵に石膏を流し込んで作成しました。(写真 右)
 擬卵と卵を交換するために台に近づくと最初は威嚇してきたものの巣から飛び立ち、すぐ近くの枝にとまってじっとこちらの様子を窺ってきます。作業中の姿を見られていたので卵の交換後にもちゃんと抱いてくれるか心配でしたが、時間をおいて見に行くと心配ご無用と言わんばかりに抱卵していました。もちろん盛大に威嚇されました。卵を守る姿を見て、やはり母は強しだなと思う出来事でした。

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