特別展 第二部日本山岳画協会展「北アルプスを中心とした山岳画」

開催期間 2014 9.17(水)〜11.24(月)

主催者あいさつ

日本山岳画協会展

日本山岳画協会は、1936(昭和11)年に日本山岳会を母体として、好んで山の絵を描く画家の集団として結成されました。創立会員には中村清太郎、足立源一郎、石井鶴三、茨木猪之吉、吉田博ほか12名が参加して発足し、本年で78年目を迎えます。 作品の主題は、山頂や山中などに限定せず、望遠、山麓、溪谷、湖沼、草木、禽獣など山に属するものはもとより天象、人生、神話、伝説の類まで、国内外に広く題材を求めたものであります。 協会結成15年後の1951(昭和26)年、大町の地に山岳博物館が誕生し、山岳文化の殿堂として今日に至っています。 本年は大町市制施行60周年、大町市と美麻村・八坂村との合併10年、中部山岳国立公園指定80周年という三重の記念すべき年にあたり、ここ大町山岳博物館を会場に約80日間の長期にわたって展覧会を開催いたします。 ご来館の皆様には山の魅力の再発見や絵画から伝わる山岳美を感じ取っていただき、作品に込めた作者の熱意と心情をお汲み取りいただければ幸いです。

市立大町山岳博物館
日本山岳画協会

日本山岳画協会の歴史

日本山岳画協会は1936年(昭和11)に日本山岳会に所属する好んで山を描く画家12名によって結成された団体で、創立以来本年で78年目を迎えます。 当協会の作品の主題は、山頂・山中とか狭く限定せず、遠望も山麓もそして渓谷、湖沼草木、禽獣の山に属するものは固より、天象、人生、神話、伝説の類まで、国内外に広く題材を求めたものであります。 創立会員には、中村清太郎、足立源一郎、石井鶴三、石川滋彦、丸山晩霞、吉田博などが名を連ねて居ります。記録によれば結成から9年目の1944年(昭和19)まで、毎年東京と大阪で定期的に展覧会を開催していますが、途中1941年(昭和16)に戦争に突入、それに続く1945年(昭和20)の敗戦と占領下の社会情勢の混乱の中で、当会も活動できない数年を過ごし、1949年(昭和24)になって、創立会員の中の5名(上記の中、丸山を除く)と戦前に入会していた4名と新規加入の6名を加え計15名にて再発足しました。 爾来会場は主に東京で、時に神戸での開催が記録されていますが、1976年(昭和51)以降は東京のみの展覧会開催を続けており、会員数も20名内外で推移しています。そうした中1984年(昭和59)に初めて大町山岳博物館で特別展が開かれ、現在まで略々5年每に開催しています。
創立から現在まで入退した会員の数は110余名で、その中には文化勲章受賞者や芸術院賞受賞者そして芸術院会員となった会員が10数名居り、順不同で氏名を列挙すれば次の通りです。

田崎広助、伊藤清永、石井鶴三、大久保作次郎、井手宣通、小堀進、高田誠、田村一男、楢原健三、佐竹徳、藤本東一良、中村善策

当協会の現在の会員は24名で美術団体としては小規模でありますが、今後とも、山岳を真に尊崇する画家の集団として、山岳芸術の発展振興に及ばずながら寄与すべく、内外の山々をテーマとした作品の制作に励んで参る所存であります。

第2部 出品作品のご紹介(24名)

青木惇子(あおき じゅんこ)

神奈川県生まれ、現在埼玉県在住。示現会会員。日本山岳会会員。

1. 作品名「山稜」油彩画 F50
8月の北穂高南峰より描く北穂高真下の大キレット。槍ヶ岳への稜線は厳しいが、歌う様に連なっていた。
残雪と岩壁を渡って来る風と匂いが心地良い。年老いて再びここ迄無事良く登って来れたなぁと、自分を誉めた。しみじみ幸せと感謝の気持ちいっぱいで絵筆をとった。
2. 作品名「雪稜」油彩画 F20
奥穂高岳からやっと涸沢岳にたどり着いた。ここから見る槍ヶ岳は味わい深い。こごえる手でスケッチをしていると、時間のたつのも忘れてしまった。おかげで夕日に映える槍ヶ岳を見る事が出来た。槍ヶ岳への稜線の山麓は神秘的に恐ろしい迄深く、私の心に刻まれた。

伊東政朗(いとう まさあき)

東京都生まれ、現在千葉県在住。大調和会委員、千葉県美術会会員。千葉市美術会委嘱、東京野歩路会会員。

1. 作品名「山里」油彩画 F50
北信には未だに茅葺き屋根の農家が点在しているところがあります。小谷村は、松本から大糸線に乗り白馬駅をいくつか過ぎた処にあり、深い山と狭い渓谷に囲まれた地に細々と生活している人達がいます。白馬の遠景を描きたいと登って行ったところ、急にこんな光景が目の前に広がりました。
2. 作品名「雪原(白馬村)」油彩画 P15
雪景色を描きたいとかねてから思って居り、雪がまだ残っているうちにと思い立って白馬駅に降り立ち、あちこち歩き回り、結局駅からそう遠くない白馬大橋から小道を少し入った処から白馬三山方面を見た景色ですが、山が吹雪いているのかはっきり見えません。むしろその方が良かったのではないかと思って居ります。

伊藤康秀(いとう やすひで)

東京都生まれ、現在千葉県在住。習志野市美術会会員。

1. 作品名「あさぼらけ」油彩画 M30
朝焼けの初冬の後立山を描きたくて、前々日より現地に投宿。夜明け前に目的地で準備しておりましたが、モルゲンロートには染まりませんでした。
快晴の中、峰々が刻一刻と変化しながら、白銀にかがやいていました。そんな一瞬の光を追ってスケッチし、朝のひとときは終わりました。水彩スケッチを元に、油彩で描いてみました。
2. 作品名「五竜岳、新雪」油彩画 F15
「あさぼらけ」の取材の後、五竜岳を午前中の陽の中で描いてみました。
あまりの快晴で、光が動かずスケッチにてこずった記憶があります。

江村真一(えむら まさかず)

東京都生まれ、現在東京都在住。創元会運営委員、日本山岳会会員、三峰山岳会会員。

1. 作品名「待春鹿島槍ヶ岳」油彩画 F50
山の仲間と3月下旬、五竜岳を目指す。冬に比べ、風も弱く、日は長くなり、山は我々をやさしく迎えてくれた。快晴の遠見尾根を進むにつれ変化する鹿島槍ヶ岳の姿を、楽しみながら登っていく。大遠見を越えテント場と決める。ここからの鹿島槍ヶ岳は、圧巻だ。眼下にカクネ里を見て、その上に北壁が聳える。天候に恵まれ、翌日登頂してテント泊。三日目ゆっくり幕場を撤収して下山する。今回の登山は、時間的に余裕があり、ゆっくり取材ができた。思い出に残るよい山行であった。
2. 作品名「厳冬焼岳」油彩画 F20
年末から正月にかけての上高地は、かなりの入山者で賑わう。しかし7日を過ぎると、人影も少なくなる。山は、再びもとの自然へと静寂を取り戻す。この頃の上高地が好きだ。
こうした中で、雪の裾野まで覆った、焼岳の姿は、何んと大きく厳しく見えることか。春から秋にかけては、魅力を感じない山が、心を強く引き付ける。冬にこそ焼岳は、生き生きとして迫ってくる。絵にしたい山岳美を十二分に持っている山姿である。

熊谷榧(くまがい がや)

東京都生まれ、現在神奈川県在住。日本美術会々員、豊島区立熊谷守一美術館館長。

1. 作品名「高山から北アルプス」油彩画 M50
大町展第Ⅱ部は、北アルプスがテーマだという。かつて若かりし頃、いくたび槍・穂高に登ったことだろう。北穂高小屋に入りびたって、滝谷で岩登りをしたことも遠い昔だ。そこで描いた絵がたくさんあったのに、あまり手許に残っていない。仕方がないので今春の高山展のときに描いた「高山から北アルプス」を出すことにした。自分で登った足許の山が好きでパノラマはあまり好きではないのだが。
2. 作品名「八ヶ岳と蓮花」油彩画 F20
もう一点は「八ヶ岳と蓮花」で、北アルプスからはちょっとはずれる。さいきん膝を痛めて山登りも山スキーも出来なくなったので、おりおり訪れる小淵沢の石彫工房から甲斐駒ケ岳や八ヶ岳を描いている。

栗又功雄(くりまた いさお)

東京都生まれ、現在東京都在住。示現会会員、稲門山の会会員、日本美術家連盟会員。

1. 作品名「五竜の春」油彩画 F50
白馬村の春は遅い。4月下旬、村では桜、桃、コブシが同時に咲き、道端には除雪した雪の塊が黒くすすけて残っている。
スキー場はまだ、客でにぎわっている。白馬・五竜スキー場のゴンドラに乗り、駅の屋上にてスケッチ。
2. 作品名「春の訪れ」油彩画 F20
白馬村、五竜を望む。
柳の芽も芽吹き、春のいろを添えてくる。
五竜はまだ多くの雪を残している。

小谷明(こたに あきら)

東京都生まれ、現在東京都在住。日本旅行作家協会副会長。

1. 作品名「アマダブラムとクーンブヒマラヤ連峰」油彩画 M30
エベレスト街道ペリジェのキャンプ地からモレーンを登ってゆくと、右手にアマダブラムが山姿に鋭さを増して現れ、南から西へと連なる山並みが、ガンテガ、タムセルクへと続いている。それはクーンブヒマラヤの大パノラマだ。
2. 作品名「黒菱小舎」油彩画 P12
昭和20年代の終わりから30年代の黒菱小舎は、静かな山小舎だった。
まだリフトもケーブルもなく、みんな細野から登った。春山のシーズンは唐松、不帰、五竜へ登山と春スキーの基地だった。

後藤三男(ごとう みつお)

茨城県生まれ、現在千葉県在住。日本美術家連盟会員、日本山岳会会員。

1. 作品名「北アルプス冠雪(大町)」油彩画 P50
信濃大町駅北の三日町近くからまむし坂を上って県道川口大町線の平地に辿り着くと、大塩地区の集落が広がり、その奥に冠雪した北アルプスの峰が輝いている。春先、田植え前の水田に山稜が鏡田になって映り、風が春の季節感を運んで来てくれる。
2. 作品名「岩小屋沢岳の春(大町)」油彩画 F12
春先、信濃大町駅から大町温泉郷への途中、野口集落へ。中心の駐在所付近から北アルプスの眺めは素晴らしく残雪の雪渓が輝いて見える。田植えした早苗の中に冠雪した山稜が鏡田になって映っている。
岳への山道は、扇沢口から爺ヶ岳南の種池山荘へ。そこから針ノ木岳の方向への山道付近はライチョウが多く、警戒鳴き、更に歩くと浮石が多いので要注意。3時間ほどで新乗越山荘へ、山荘は築10年ほどで、そこから剱岳の眺望は絶佳。

小林浩子(こばやし ひろこ)

長野県生まれ、現在長野県在住。示現会会友。日本山岳会会員。

1. 作品名「残雪 前穂高より」油彩画 F30
7月半ば、前穂高岳に登りました。上高地から岳沢、重太郎新道を通って、紀美子平、前穂とピストンをしました。
重太郎新道の登りはかなりきつかったけれど、頂上の景色を見たとたんその疲労は一瞬で吹き飛びました。ハイマツの緑、残雪の白、そして空の青、さらにアルプスの険しく複雑な岩様。ずっとそこに留まっていたい気分でした。
2. 作品名「徳本峠より 明神岳・前穂・奥穂」油彩画 F10
7月、屏風の頭を目指したところ、「残雪のため通行止め」の看板。仕方なく徳本峠に登った。山ではないと今では意識していなかったが、そこからの展望は明神岳を主役にし、前穂・奥穂を後ろに従えた、今までとは異なる北アルプスの姿が見えた。

清水保博(しみず やすひろ)

愛知県生まれ、現在愛知県在住。水彩画。

1. 作品名「不帰の嶮の見える登山道」水彩画 P50
月の前に聳え立つ不帰の嶮が、八方池、唐松岳へと続く、登山道を歩む度に、右へ左へ上下へと、体の動きと同じ様に揺れ動く、目の前の屏風のような楽しい岩と雪の尾根。
2. 作品名「劔岳堂々」水彩画 P10
八方池山荘に泊まり、白馬三山の夜明けに目覚め、残雪の唐松岳の登山道を雪に、12本爪アイゼンを利かせ、岩と残雪の唐松岳へと越えてゆく、目の前にドーンとでっかい劔岳があった。

杉山修(すぎやま おさむ)

東京都生まれ、現在東京都在住。東京都山岳連盟、好山会会員、吉田版画アカデミー所属。

1. 作品名「八ヶ岳厳冬 阿弥陀岳へ」木版画 全紙
八ヶ岳は冬山としては比較的入山しやすい山です。道路も車で入りやすく、通年営業の山小屋もある。天候も北アルプスより冬型の気圧配置からの回復が 早い。私の冬山のトレーニングは、この八ヶ岳から始まります。
赤岳鉱泉から行者小屋を経て、文三郎道をたどってゆくと、阿弥陀岳が手前に中岳をしたがえてそびえてみえます。とても日本の山とは思えない、厳しい姿の峰です。そしていつまでも見飽きない美しい峰です。
2. 作品名「穂高黎明」木版画 半切
北アルプスの蝶ヶ岳から見た穂高連峰です。冬の蝶ヶ岳はどこから登っても長いアプローチとなります。この時は、常念岳を登って、2日目に蝶ヶ岳の冬期小屋に泊りました。翌朝、未明に起床して夜明けを待ちました。日の出がピンクに染って、やがて穂高に直射が当たり、峰々が黄色く輝きました。寒さに震えながら、ただただその美しさに放心状態でした。その時の記憶と、後日スケッチした穂高岳をあわせて、この絵をしあげました。

須藤卓男(すどう たくお)

東京都生まれ、現在東京都在住。創元会会員、日本山岳会会員。

1. 作品名「雲海」油彩画 F30
2. 作品名「八ヶ岳山麓」油彩画 F20

髙橋てる子(たかはし てるこ)

東京都生まれ、現在神奈川県在住。日本山岳会会員、カルチャー講師。

1. 作品名「針ノ木岳と花たち」油彩画 F30
夏の針ノ木岳をめざして歩いた1日目は、目前にドーンと山が輝いていましたが、次の日から雨の中を、でも足元にはいろいろな花たちが美しく咲いていて元気付けてくれました。
その花たちと登れなかった針ノ木岳を描きました。可愛らしい花たちに感謝しながら、花をいろいろ描けたのがうれしかったです。
2. 作品名「やがて冬の千畳敷」油彩画 F20
晩秋の木曽駒ヶ岳に挑戦しようと岩の登山道を歩きはじめましたが、身体がキツクなり、下山して回りを見たら、ナナカマドの赤い実が可愛らしく、その美しさはなんとも感動の一言でした。
一生懸命スケッチしたのを、今も思い出します。

武井清(たけい きよし)

東京都生まれ、現在山梨県在住。元光陽会会員、日本山岳会会員。

1. 作品名「槍ヶ岳朝陽」油彩画 F50
鯉のぼりがなびく5月の涸沢から、北穂高に登る。途中、色とりどりのテント村が小さくみえる。
北穂高小屋の前からキレット越しに槍ヶ岳を描く。いつもより落着いてゆっくりした気持ちで描けるのは、小屋が近いせいか。槍ヶ岳は、いつ、どこからみてもすばらしい。特に雪をまとった姿は美しい。
2. 作品名「蝶ヶ岳より槍ヶ岳」油彩画 F20
新緑の5月、徳沢園から長塀尾根を登る。長くて急な登りだ。雪が多くなってきた。樹林帯をぬけると、明るい場所に出る。穂高連峰が顔を見せはじめる。 スケッチを何枚も描く。数日前に降雪があったようで、槍・穂高連峰が、キラキラ輝いていて、一段とすばらしい。

武本嘉成(たけもと よしなり)

東京都生まれ、現在千葉県在住。無所属。

1. 作品名「爺ヶ岳 冬」油彩画 F50
今年(2014年)2月初め、この日は朝から北アルプスが一望出来る好天に恵まれ、大町山岳博物館の駐車場に車を停めて、一日中ここで絵を描く事を決めた。博物館前のベンチに座り、イーゼルを立て、初めに正面に見える爺ヶ岳をF10号の立構図で、朝9時過ぎから約2時間で描きあげた。F50号のこの作品は、F10号を原図として、自宅アトリエで絵として描き直したものである。3ヶ月程手を加えて完成させたものである。5月頃になれば種まき爺さんも南峰に表れる事であろう。
2. 作品名「鹿島槍ヶ岳 冬」油彩画 F20
この絵も今年(2014年)2月の同じ日に、爺ヶ岳の次に山岳博物館のベンチで、F10号の横構図として、11時頃から1時頃まで、約2時間で描きあげたものを原図として自宅アトリエで絵として描き直したものである。完成まで3ヶ月程要したものである。

田中泰道(たなか ひろみち)

東京都生まれ、現在神奈川県在住。大調和会会員、港の作家美術協会会員、日本山岳会会員。

1. 作品名「槍ヶ岳 曙光」油彩画 F50
10月、蝶ヶ岳へ登り2泊、蝶ヶ岳からは穂高連峰から槍ヶ岳までが眼前に広がり、絵心を誘い、昼間、スケッチ。早朝、薄暗い時間に起き、ご来光を待つ、赤い太陽が顔を出しはじめた時、後ろを見ると山々が朱色に染まり輝いている。下界で見るものとは全く違う色と輝き。この輝きはほんの短時間であるが、その印象を心に刻み描いたのがこの作品です。
2. 作品名「五竜岳 春雪」油彩画 F20
昨年は春が遅く、4月下旬に白馬村を訪れた時、2日前に降って雪で五竜岳が真っ白に輝いていた。いつも見る5月上旬の残雪の山とは違い、一面の白さ、その輝きを描きたかった。

谷口満子(たにぐち みつこ)

京都府生まれ、現在東京都在住。示現会会員。

1. 作品名「仰ぎ見る槍ヶ岳」油彩画 F50
昨年9月末、初秋の槍ヶ岳に登りました。あえぎあえぎ槍沢を登った先で、抜けるような青空の下、すっくと立つ槍ヶ岳を見た時、叫びたいような感動を覚えました。宇宙に続くような空の色も、堂々とした山の姿も、全部描きたいと欲ばりました。
2. 作品名「朝焼け」油彩画 F15
槍ヶ岳山荘の前で、御来光を迎えた時の光景です。刻々と変化する美しく雄大な、光と山が織りなすスペクタクルの一瞬でも残せたらと描いてみました。9月末、朝の5時半頃です。

千葉潔(ちば きよし)

大阪府生まれ、現在長野県在住。無所属。大坂芸大卒。

1. 作品名「星座と槍・穂高連峰」油彩画 M50
 山をテーマに作画がはじまり、かれこれ30年かと思う。登山はそれより10年以上さかのぼり10代後半から。絵を志したのは、登山よりも前の事だった。  作画は幾多の変遷を経て今に至ったが、近頃、これまでの歩みを検証している。写生を通して、現実の体感を画面に求めて来たが、幻想的な画面をイメージするようになって来た。山にいて満天の星を見る時、それは現実にほかならないが、何故か幻想の世界に引き込まれる。蝶ヶ岳より見る槍・穂高連峰に星座をちりばめる事で、そのような画面を作ってみた。
2. 作品名「南岳より穂高連峰」油彩画 F20
槍ヶ岳スケッチ教室の講師として毎年訪れる南岳。自分の写生ポイントはいくつかあるが、行く度に同じポイントで繰り返し繰り返し描いている。結果同じ構図の、同じ季節で、同じような絵が数多く出来て来る。
一見して同じ絵を何点も描いているように見えるかもしれないが、一点として同じものはない。数多く描く中で、新しい発見があり、新しい試みが生まれて来る。定点での作画の魅力がここにある。
小屋から出て、常念平に向う途中にある小さな石が椅子となり、毎年描く穂高の山並み。峨々とした山容だが、秋の穏やかな朝、しっとりとした優しさを感じた。

中村勝久(なかむら かつひさ)

広島県生まれ、現在長野県在住。日本美術会会員、新作家美術協会会員、日本山岳会会員。

1. 作品名「大町市民の森から(Ⅰ)」油彩画 F40
大町市民の森の桜は本当に美しくなりました。北アルプスを背景にしたしだれ桜が、雪山と引き立てあっています。これからこのポイントは、カメラや絵画などの絶好の題材になるでしょう。構図などはこれから様々な人が工夫するでしょうが、今回はとにかく夢中で取り組みました。
2. 作品名「大町市民の森から(Ⅱ)」油彩画 F20
桜と北アルプスの雪山のすばらしい取合せに、久し振りに感動して夢中で取り組みました。桜の花は、あっという間に過ぎ去ってしまいます。

藤田錦一(ふじた きんいち)

東京都生まれ、現在千葉県在住。無所属。

1. 作品名「五竜岳」油彩画 F50
6月下旬、唐松岳から向かう稜線上からは重厚な五竜岳が、ひときわ大きな存在感を放つ。唐松岳方面から見る五竜岳は端正な台形をしており、幾重にも深い谷が縦に連なり、それぞれに豊富な雪渓を抱いている。明け方の黎明が美しく、尾根や谷が織りなすシルエットは、文句のつけようがないほど魅力的だ。
何度も色を修正し、印象的な朝の光を描こうと努めたが、実際の美しさを表現するのは困難だ。
2. 作品名「雲涌く白馬岳」油彩画 F20
夏の白馬三山は人気の山域だ。白馬鑓ヶ岳方面から見た手前の杓子岳と奥の白馬岳の対照的な山容と夏山特有の沸き立つ雲を動的な構図におさめて描いた。
稜線歩きは気持ちがいい。常に美しい白馬三山を視界におさめながら歩き続けることができる。描きたい構図はいくつもある。生涯追い求めたい山域だ。
夏山のグリーンは、私の中でも特にこだわりのある色だ。表現力のある豊かなグリーンを追及していきたい。

細野清嗣(ほその きよつぐ)

東京都生まれ、現在千葉県在住。無所属。水彩画。

1. 作品名「秋色遠望(鹿島槍ヶ岳・五竜岳)」水彩画 F50
後立山連峰は、北アルプス北部に位置し、剱・立山連峰と黒部渓谷をはさんで対峙する連峰で、白馬岳・五竜岳・鹿島槍ヶ岳・爺ヶ岳・針ノ木岳など南北 に連なっている。
残雪期の雪形をみて耕作の時期をきめたり、山麓の人々に親しまれている。
この絵は、大糸線を東側小川村の高所から、紅葉の山々の向こうに新雪を冠した鹿島槍ヶ岳(2889M)・五竜岳(2814M)を描きました。両峰とも日 本百名山に名を連ねています。
2. 作品名「水晶岳(雲ノ平から)」水彩画 F10
雲ノ平は、北アルプスのほぼ中央・黒部川の源流域にある標高2600m前後の高原です。アプローチに2日を要する奥にあるが、周囲の山々の雄大な景色と高山植物が咲き、池塘が点在する別天地で、アラスカ庭園、日本庭園などと呼ばれる場所もある自然の造形美あふれる高原です。この絵は、雲ノ平の周囲の山々のひとつ、スイス庭園の眼前に見える水晶岳(2986M)を描きました。水晶岳(別名、黒岳)は、日本百名山のひとつです。

増田欣子(ますだ きんこ)

東京都生まれ、現在千葉県在住。朱葉会理事、現代童画会常任理事、日本山岳会会員。

1. 作品名「聖山カイラス(チベット)」油彩画 F50
2. 作品名「ラカボシとフンザの春」油彩画 M30

若林晴男(わかばやし はるお)

神奈川県生まれ、現在長野県在住。元白日会会員、大町美術会会員。

1. 作品名「山村雪景(鹿島槍ヶ岳)」油彩画 F40
大町市と合併した元美麻村新行で描いた鹿島槍ヶ岳とその麓の風景を描いた 作品である。テーマは鹿島槍だが、村落の佇まいに日常の生活感を描き込みたいと思い、そのことを意識して制作した。  遠景の山、中景の樹林と村落、近景の雪田、殆んど変わることない1~3月の新行風景である。強いて云えば、ここ数年の間に改築した家、新築して増えた家、屋根雪を早く融かす為の電気工事をした民宿など、二・三の変化は認められても大きな自然に抱かれたこの風景は何年経っても変わらないだろうと思う。
2. 作品名「安曇野晩秋」油彩画 P15
この写生地は大町市に隣接する池田町「アルプス展望美術館」の北西道路際の場所で、何度となく写生に通った処である。天気の良い日には、四季を通じ何人かの人達が写生に来ていて、夫々にその人なりの表現を試みている。
この画に描かれている畑は葡萄畑で、その昔は雑木林であった。また中景の家並の場所は広い田圃だった。晩秋の数日現場写生に行って殆んど完成させた作品である。
遠景の山は画面のやや左が爺ヶ岳、その右の双耳峰が鹿島槍ヶ岳、次いで五竜岳で、その右すなわち北側に白馬の山々が連なっている。

渡邊良一(わたなべ りょういち)

福島県生まれ、現在千葉県在住。示現会委員。

1. 作品名「ポプラと杏」油彩画 F25
フンザ村のホテルの庭からの眺め。スケッチする人はどこにも見当たらない。私の後ろで羊飼いの子供が、一人熱心に観ているヒマラヤ山脈のウルタール山。
ポプラと杏の花。白い雪山、澄み切った青空。生涯忘れることが出来ませんもう一度行きたい所です。
2. 作品名「新緑の白馬」油彩画 F15
春6月、白馬村。緑と真っ白な雪山に魅せられて描きました。

特別展 第1部「日本の山・世界の山」はこちら

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