企画展鹿島槍ヶ岳カクネ里 氷河への道のり

開催期間 2016年6月11日(土)~8月28日(日)

鹿島槍ヶ岳カクネ里 氷河への道のり

主催市立大町山岳博物館
監修カクネ里雪渓(氷河)学術調査団(市立大町山岳博物館・信州大学・長野県環境保全研究所・富山県立山カルデラ砂防博物館)
協力千葉県立中央博物館・(株)テレビ信州・(株)フォト信州
会期平成28年6月11日(土)~8月28日(日)※ 会期中の休館日:6月13日(月)・20日(月)・27日(月)7・8月無休
開館時間午前9時 ~ 午後5時※ 入館は午後4時30分まで
会場市立大町山岳博物館 特別展示室
入場料大人400円 高校生300円 小・中学生200円※ 通常展示と共通 30名様以上の団体は各50円引き。各種割引適用あり 窓口でお確かめください。

はじめに

カクネ里雪渓は、北アルプスの秀峰「鹿島槍ヶ岳」の奥懐にあって容易に人を寄せ付けない厳しい環境下にあります。

大規模なカクネ里雪渓が氷河である可能性を、科学的な調査により最初に指摘したのは、五百澤智也氏でした。氷河地形研究者であり、鳥瞰図作家でもあった五百澤氏は、複数回にわたるカクネ里での調査によってこの雪渓下に氷体が存在することを明らかにしました。

しかし、氷体が流れている現存氷河であるのかを証明する方法も確立されておらず、五百澤氏の調査以来60年近い期間カクネ里に関する科学的調査が行われることはありませんでした。

2012(平成24)年立山連峰の立山・剱岳における3つの雪渓が氷河であると学術的に認められ、これまで本邦には氷河は存在しないとされていた定説が覆されました。

これを受け2014(平成26)年、大町市の財政支援の下、前述したカクネ里雪渓の氷河説を確かめるため市立大町山岳博物館・信州大学・長野県環境保全研究所・富山県立山カルデラ砂防博物館の4者による「カクネ里雪渓(氷河)学術調査団」が組織され、天候不順等によるたび重なる中断を余儀なくされたものの、平成27年度に調査隊を現地へ派遣することに成功し、雪渓下の氷体の確認とその移動量の測定に関して一定程度のデータを得て、カクネ里雪渓が氷河である可能性がほぼ確実な状況となってきました。

このような中、氷河の可能性を見出した今回の調査の様子や地球温暖化等環境変化のバロメーターともなる氷河について、少しでも早く多くの方にお伝えし理解を深めていただけることを期待し、企画展「鹿島槍ヶ岳カクネ里 氷河への道のり」を急遽開催することといたしました。

山岳文化都市宣言

私たちの大町市は、雄大な北アルプスのパノラマを代表とする、四季折々の変化に富んだ豊かで美しい大自然に恵まれています。

北アルプスの山麓で生まれ、育ってきた市民は、その長い歴史を通じて、山岳がもたらす豊かな自然環境の恵みを受けながら、自然と人とが共生する独自の山岳文化を形成してきました。

21世紀を迎えた今日、身近な生活環境の改善から地球環境の保全まで、様々な環境問題への取り組みが重視される中で、本市においても、市民、事業者、行政等が協働と連携を図りながら、新しい時代の課題や要求に応える山岳文化の振興が求められています。

本市における山岳文化の拠点である山岳博物館開館50周年の節目にあたり、山岳博物館創設当時の理念に学びながら、「環境の世紀」と言われる21世紀にふさわしい山岳文化の発展と創造をめざして、大町市を自然と人とが共生する「山岳文化都市」とすることを宣言します。

平成14年3月15日 大町市

展示構成

1.日本アルプスの氷河地形
空撮写真で見る日本アルプス氷河遺跡群、その例として氷河遺跡の位置や形などについて、氷河認定されている国内の氷河、世界の氷河を紹介します。
2.調査の歴史
国内氷河研究の先人であり、今回のカクネ里雪渓での氷河調査の原動力ともなった五百澤氏の業績を紹介します。氏の山岳鳥瞰図の完成作品は素晴らしい物ですが、原画なども一見の価値があります。
また、立山連峰で本邦初の現存氷河を発見した富山県立山カルデラ砂防博物館の調査の様子や学術的成果も紹介します。
3.カクネ里雪渓調査
カクネ里は、どのような場所で、どのように調査は行われたのか。
そして、その結果はどうだったのか。今回の企画展「鹿島槍ヶ岳カクネ里 氷河への道のり」の核心部分です。

西遠見からカクネ里雪渓

西遠見からカクネ里雪渓

カクネ里雪渓と3つの氷河

カクネ里雪渓と3つの氷河

中遠見山から

中遠見山から

  • 鹿島槍ヶ岳カクネ里
  • 鹿島槍ヶ岳カクネ里
  • 鹿島槍ヶ岳カクネ里
  • 鹿島槍ヶ岳カクネ里
  • 鹿島槍ヶ岳カクネ里
  • 鹿島槍ヶ岳カクネ里

監修

カクネ里雪渓(氷河)学術調査団
団長:小坂共榮・副団長:鈴木啓助・飯田肇
市立大町山岳博物館
団員:小坂共榮・西田均・千葉悟志・宮野典夫
信州大学
団員:鈴木啓助・原山智・朝日克彦
長野県環境保全研究所
団員:富樫均・浜田崇・尾関雅章
富山県立山カルデラ砂防博物館
団員:飯田肇・福井幸太郎

関連催しご案内

ミュージアムトーク

日時6月11日(土) 午前10時00分~ 午後1時30分~
7月10日(日) 午後 4時00分~
8月11日(祝) 午前10時30分~ 午後1時30分~※各回の所要時間は20~30分程度
会場市立大町山岳博物館 企画展会場
※事前申込み不要。ただし入館料が必要となります。

カクネ里雪渓(氷河)学術調査団報告会〜カクネ里雪渓調査フィールドワークと展望〜

日時7月10日(日) 午後1時30分~
会場サン・アルプス大町 2F大会議室(長野県大町市大町1601-2)
地球温暖化のバロメーターでもある氷河への理解を深めていただくとともに、調査の様子を紹介します。
主催カクネ里雪渓(氷河)学術調査団
演題・講師
北アルプスの雪渓・氷河研究史とカクネ里雪渓
立山カルデラ砂防博物館 飯田 肇 氏
カクネ里に現存する氷河確認調査
立山カルデラ砂防博物館 福井 幸太郎 氏
カクネ里雪渓の学術的意義とその課題
信州大学 鈴木 啓助 氏
※報告会終了後、会場を移しミュージアムトークが行われます。※事前申込み不要。聴講料無料。

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