平成27年度 市立大町山岳博物館 × 信州大学山岳科学研究所 連携企画展北アルプス山麓の自然に蝶が舞う

開催期間 2016年2月13日(土)〜4月10日(日)

北アルプス山麓の自然に蝶が舞う

主催市立大町山岳博物館 信州大学 先鋭領域融合研究群 山岳科学研究所
会期平成28年2月13日(土)~4月10日(日)※ 会期中の休館日:2月15日(月)・22日(月)・29日(月)
・3月7日(月)・3月14日(月)・3月22日(火)・3月28日(月)・4月4日(月)
開館時間午前9時 ~ 午後5時※ 入館は午後4時30分まで
会場市立大町山岳博物館 特別展示室
入場料大人400円 高校生300円 小・中学生200円※ 常設展と共通 30名様以上の団体は各50円引き。

はじめに

日本には、約250種以上のチョウがいるといわれていますが、そのうちの約150種を長野県内でみることができ、この数は、都道府県別でみても1番・2番を争うほどに多い数です。

これは、信州が南北に長く、緯度・経度に大きな差をみることのほかに、南は太平洋側気候の影響、北は日本海側気候の影響を受けるうえ、低標高地から高標高地を有する標高差によっても多様な環境が生み出されていることは容易に推測できるところです。その中でも、北アルプスとその山麓地域は大町市を中心に、南は松本市から北は小谷村に至り、奥穂高岳の3190mを最高標高地とし、姫川の170mを最低標高地とします。標高差はなんと3000m以上にもなり、まさに山岳県を象徴するエリアといえます。この間には、手つかずの自然もあれば、私たち人間が手を加え、維持してきた自然(二次林や半自然草地など)、いわゆる里地里山の環境があり、多様な環境は、多くの生きもののすみかや餌場となり、豊かな生物相が育まれてきたと考えられます。

しかし、いまの時代においても果たして、生物相は豊かに育まれているのでしょうか。私たちは何か大切なものを見落としているのかもしれません。

この度の企画展では、チョウの眼をとおして、北アルプスとその山麓地域の自然、そして人とのかかわりについて、いっしょに考えていただく機会といたします。

企画展監修
江田 慧子(信州大学 先鋭領域融合研究群山岳科学研究所 助教)
執筆
江田 慧子(信州大学 先鋭領域融合研究群山岳科学研究所 助教)
中村 寛志(信州大学 地域戦略センター 特任教授)

山岳文化都市宣言

私たちの大町市は、雄大な北アルプスのパノラマを代表とする、四季折々の変化に富んだ豊かで美しい大自然に恵まれています。

北アルプスの山麓で生まれ、育ってきた市民は、その長い歴史を通じて、山岳がもたらす豊かな自然環境の恵みを受けながら、自然と人とが共生する独自の山岳文化を形成してきました。

私たちは、先人たちが守り育ててきた山岳文化を受け継ぎ、かけがえのない豊かで美しい自然を次の世代に伝えていかなければなりません。

21世紀を迎えた今日、身近な生活環境の改善から地球環境の保全まで、様々な環境問題への取り組みが重視される中で、本市においても、市民、事業者、行政等が協働と連携を図りながら、新しい時代の課題や要求に応える山岳文化の振興が求められています。

本市における山岳文化の拠点である山岳博物館50周年の節目にあたり、山岳博物館創設時の理念に学びながら、「環境の世紀」と言われる21世紀にふさわしい山岳文化の発展と創造をめざして、大町市を自然と人とが共生する「山岳 文化都市」とすることを宣言します。

平成14年3月15日 大町市

展示構成

「第1章 信州のチョウのいま・むかし」では、日本・長野県・大町市にすむチョウの種類数のほか、最近の分類などについて、解説するほか、長野県で少なくなったチョウや分布を広げているチョウについても紹介します。

「第2章 北アルプス山麓のチョウ」では、高山のチョウ、高原のチョウ、草原のチョウ、里地・里山のチョウに分けて、それらの特徴、また、環境について写真や標本を用いて紹介します。

「第3章 チョウを守りましょう」では、安曇野市のオオルリシジミと小谷村のギフチョウ・ヒメギフチョウに焦点をあて、現状や保全活動を紹介します。

「第4章 みんなで調べた大町のチョウ」では、今夏から今秋に、大町山岳博物館友の会会員を中心に、山岳博物館の近くにある山の子村(旧 東山低山帯野外博物館)の山道や草原で行った調査の結果を示しながら、大町のチョウ相の特徴について紹介します。

執筆

江田 慧子

江田 慧子

信州大学 先鋭領域融合研究群山岳科学研究所 助教

1985年、愛知県生まれ。専攻は絶滅危惧種シジミチョウ類の保全・保護に関する研究で、オオルリシジミやミヤマシジミなどを対象としている。主な著書に「蝶からのメッセージ」(オフィスエム)や「ちょうちょのりりぃオオルリシジミのおはなし」(同)がある。

中村 寛志

中村 寛志

信州大学 地域戦略センター特任教授

1950年、京都市生まれ。京都大学農学部卒業。研究分野は昆虫生態学、特に、アルプスや里山における生物多様性の保全と絶滅危惧種の保護、チョウ類群集の構造解析による環境評価が専門。著書に「野生生物保全技術」、「山岳科学叢書 2 山と里を活かす」などがある。信州生物多様性ネットきずな会長、ミヤマシジミ研究会会長。信州大学名誉教授、農学博士。

関連催しご案内

講演会「北アルプスの山麓の自然に蝶が舞う」

開催日時平成28年2月13日(土)午前10時30分 ~ 正午
場所山岳博物館 講堂
講師江田慧子
参加費無料

企画展ギャラリートーク

開催日時平成28年3月20日(日)
1回目:午前10時30分 ~ (約40分)
2回目:午後2時 ~ (約40分)
場所山岳博物館 特別展示室
参加費入館料が必要となります。※大町市民の方は当日無料で入館できます。

ちょうちょのりりぃ原画展

  • ちょうちょのりりぃ原画展

    ちょうちょのりりぃ -オオルリシジミのおはなし- 販促用に作ったウチワ

  • ちょうちょのりりぃ原画展

    2012年4月に行ったフォーラム「オオルリシジミの舞う信州を未来へ」での原画展

  • ちょうちょのりりぃ原画展

    2012年4月に行ったフォーラム「オオルリシジミの舞う信州を未来へ」での読み聞かせ

ちょうちょのりりぃ原画展

「ちょうちょのりりぃーオオルリシジミのおはなしー」は2011年に江田慧子(作)、さくらい史門(絵)がオフィスエムから出版した絵本です。卵から生まれて幼虫になり、さなぎとなって土のなかで越冬し、最後は羽化して大空に羽ばたいていくオオルリシジミの“りりぃ”。成虫となってからは、10日から1週間の間に産卵を繰り返すオオルリシジミの儚く、劇的な一生をさくらい史門さんの柔らかくニュアンスに富んだ作風の絵で、科学絵本として再現しました。

チョウの鱗粉は自然の色彩で、光の当たり方で見える色が変わります。また、オオルリシジミの生息地は安曇野市、東御市、飯山市の3ヶ所ありますが、それぞれ生息地の風景が異なります。そこで、全員ですべての生息地をめぐりオオルリシジミと周りの環境を観察しました。こうして絵本に主人公りりぃが生まれたのです。

絵本を作成するという作業は終わりましたが、各地で講演したり、絵本を読み聞かせしたりする活動を行っています。

大町山岳博物館では、企画展の期間中、「ちょうちょのりりぃ原画展」を開催しています。

関連資料

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